2024年から始まる新しいNISAについて

新NISAは、2024年から導入される資産形成のための税制優遇制度です。
これを理解するために、新NISAの基本概要や税制メリットについて詳しく見ていきましょう。

新NISAの基本概要

新NISAは、資産形成を促進するために導入された制度であり、少額から始められる非課税の投資制度です。
資産運用を通じて老後の生活資金を積み立てることができます。この制度では、特定の条件下で投資収益が非課税となるため、将来の資産形成に有利です。

税制メリット

新NISAの魅力は、投資収益が非課税となる点にあります。通常の投資に比べ、税金の負担が軽減され、リタイア後の生活資金を確保する手段として注目されています。
この税制メリットを最大限に活かすためには、賢い運用戦略が求められます。

新NISAの始め方と注意点

新NISAを始める際には、基本的な流れや注意点を理解しておくことが重要です。ここでは、新NISAを始める際のステップと注意すべきポイントについて解説します。

新NISAの始め方

口座開設

まず初めに、新NISA対応の金融機関で口座を開設します。銀行や証券会社などが提供しています。オンラインで手続きできる場合が多く、必要な書類を用意しておきましょう。

本人確認

口座開設には本人確認が必要です。運転免許証や健康保険証などの身分証明書を用意して、金融機関の指示に従って確認手続きを進めます。

口座への入金

口座が開設されたら、投資信託や株などの選択肢があるので、自分の投資スタイルに合ったものを選びます。そして、口座に一定の金額を入金します。

始めるにあたっての注意点

リスクの理解

投資にはリスクがつきものです。新NISAでも様々な商品がありますが、自分のリスク許容度を理解し、適切な商品を選ぶことが大切です。

手数料の確認

取引や運用には手数料が発生する場合があります。口座開設前に手数料体系を確認し、余計なコストがかからないようにしましょう。

定期的なチェック

投資先の状況は日々変動します。定期的に口座をチェックし、適切なタイミングでポートフォリオの見直しを行いましょう。

新NISAを始める際には、基本的な手続きと注意点を押さえておくことが成功への第一歩です。リスクを理解し、慎重に始めることで、将来の資産形成に一役買うことができます。

現行NISAと新NISAの違いを比較

現行NISAと新NISAの違いを理解しておくことは大切です。ここでは、両者の主な違いについてシンプルかつ分かりやすく解説します。

1.一般NISAとつみたてNISAの併用が可能

現行のNISAでは、一般NISAとつみたてNISAを同時に利用することはできず毎年、一方を選択する必要がありました。つまり、同じ年に一般NISAを利用するとつみたてNISAが使えず、逆もまた然りです。

ところが、新NISAではこれが変わります。つみたてNISAと一般NISAの二つの枠が統合され、それぞれの良いところを組み合わせることができるようになります。
例えば、つみたてNISAは非課税期間が20年間と長期ですが、特定の投資信託に制限があり、通常の購入方法ができない条件があります。
一方で、一般NISAは多くの投資信託と株式が対象で、通常の購入方法が可能ですが、非課税期間は5年と比較的短いです。

2.年間投資上限の拡大

現行のNISA制度では、年間の投資上限は、一般NISAが120万円、つみたてNISAが40万円でしたが、新NISA制度では、その上限が大幅に広がり360万円になります。

詳細としては、これまでの一般NISAに相当する成長投資の上限が年間240万円と2倍に、つみたてNISAに相当するつみたて投資の上限が年間120万円と3倍になりました。
これにより、投資の余地がかなり広がり、注目を集めているのです。

たとえば、これまでつみたてNISAを利用していた場合、毎月約33,333円の積み立てで年間の上限40万円を使い切っていました。
しかし、新しいNISA制度では、毎月最大で10万円を積み立てることができます。毎月の積み立て額を考えると、これはかなり大きな金額になります。

3.生涯非課税限度額が新設

最大1,800万円の生涯非課税限度額が新設されました。
現行のNISAでは、「一般NISA」が最大600万円(年間最大120万円×5年)、そして「つみたてNISA」は最大800万円(年間最大40万円×20年)まで非課税で投資できます。

ポイントとして覚えておきたいのは、非課税枠の再利用ができるかどうかです。現行NISAでは、金融商品を売却しても非課税投資枠は元に戻りません。例えば、「一般NISA」で株式に100万円投資した場合、その年の非課税投資枠の残りは20万円です。しかし、保有する株式を売却しても、その年の非課税投資枠は120万円には戻らず、残りは20万円のままです。

一方で、新しいNISAの生涯非課税限度額は、投資資産の売却によって復活するように変更されました。これにより、非課税制度を有効活用して、積極的な売買ができるようになるでしょう。

4.非課税保有期間が無期限に

非課税保有期間が無期限となりました。

現行のNISAでは、「一般NISA」が最長5年、「つみたてNISA」が最長20年と、非課税保有期間には制限がありました。これにより、保有期間が終了すると、投資資産を売却するか、課税口座に移管するかを決めなければなりませんでした。

しかし、新しいNISAでは非課税保有期間が無期限となりました。これにより、期間を気にせずにじっくりと運用することが可能です。

5.制度の恒久化

最後に、ここまで説明してきた制度が恒久化されるというのもポイントの一つです。

これまで一般NISAは2023年まで、つみたてNISAは2042年まで(新規買い付けは2023年まで)と期間がありましたが、新NISA制度では恒久化されました。
これにより、より長期的な視点で投資することが可能になります。

新NISAのデメリットについて

新NISAは非課税保有期間が無期限化、投資可能期間は恒久化されるなどのメリットが注目されていますが、デメリットもあります。

自分で判断しないといけない場面が増えた

新NISAでは、以前の一般NISAやつみたてNISAとは異なり、一度売却してしまっても枠を再利用できるようになりました。
この変更により、投資の自由度が向上し、自分のスタイルに合わせて柔軟に運用できるようになりました。
自由度の向上はメリットではありますが、同時に自分で判断しなければならない場面も増えます。
例えば、含み損が発生した場合の売却判断や、売却後の新しい投資先を選ぶ判断など、これらの決定を以前よりも自分で行う必要があります。

従来のNISAと同様、元本割れリスクがある

新NISAでも、以前のNISAと同様に、主に投資信託を使って積み立て投資を行います。
投資信託は、投資家たちからお金を集め、専門家がそのお金をまとめて運用し、得た利益を投資家に還元する仕組みの金融商品です。
投資信託の中身によって利益や安全性は様々ですが、株価の変動などにより毎日の価格が変わります。
少額から始めやすい点が魅力ですが、元本が保証されているわけではなく、運用の結果が悪い場合には元本が減るリスクもあります。

新NISAの投資先選びのポイント

新NISAを有効に活用するためには、慎重な投資先の選定が不可欠です。
新NISAの投資先を選ぶ際のポイントをまとめました。

自身の目的に合った商品選び

投資を始める際には、まず自分の投資目的とリスク許容度を確認することが重要です。
リスク許容度は人それぞれ異なりますが、過度にリスクを回避すると期待したほどの投資成果が得られず、目標を達成できない場合もあります。

投資に伴うリスクは、分散投資や長期投資による複利効果などで軽減する可能性が高まります。

投資先の事業や商品が理解しやすいものであることが重要です。業績や将来性を把握しやすい銘柄を選びましょう。

運用手数料の確認

投資信託で運用すると、保有期間中には信託財産から毎日差し引かれる「信託報酬」と呼ばれる手数料がかかります。
つみたて投資枠で選べる投資信託は、この手数料が比較的低めに設定されていますが、銘柄ごとに手数料が異なることがあります。
投資信託を保有している限り、信託報酬は発生し続けます。そのため、長期にわたって運用するなら、手数料をできるだけ低く抑えたいと考える人もいるでしょう。

年齢から考える

年齢によっては、リスク許容度や投資期間が変わるので、そこから考えるのも大事です。

例えば、20〜30歳の若い世代は老後の資金を長期間運用できるため、外国株式ファンドなどのハイリスク・ハイリターンの投資も考えられるでしょう。

40〜50歳の中年世代はセカンドライフが近づいてくるから、リスクを抑えたバランスファンドなどを組み合わせるのがいいのではないでしょうか。

60歳以上の高齢者層は、退職金などでまとまった資産を運用することが多いようです。失敗すると生活にダイレクトに影響するため、インフレに負けない程度のリターンを目指して、リスクの低いバランスファンドや国内債券ファンドを考えるといいでしょう。

2024年から導入される新しいNISA(新NISA)では、旧NISAに比べて非課税保有期間などの制限が和らぎ、将来の資産形成において複利効果をより活かすことが期待できます。
ただし、投資を始める前には、制度のしくみをしっかり理解することが大切です。自分のリスク許容度やどの制度を利用するか、投資対象などを明確に把握することが必要です。
投資期間中に資産が減少することがあっても、冷静に対処し、投資を続けることが肝要です。余裕資金を活用して長期的な積み立てと分散投資を重視し、定期的に運用を見直すなどして、将来の資産形成に向けて投資を巧みに活用しましょう。